賃貸経営 3つのステップ
賃貸経営には建物を所有してから借入金の返済終了まで、大きく分けて3つのステップがあります。それぞれの時期の特徴を掴んでおくことが肝要です。
- 新築時~築15年未満…貯まる時期
- 築15年以上・借入金返済期間内…耐える時期
- 借入金返済期間終了・減価償却消滅後…保たせる時期
STEP1 「貯まる時期」
- クリーニング・壁紙の一部張替えなどの原状回復で、物件の集客力が維持できる。
- 減価償却費と借入金返済における利息の割合が高いため節税効果が高く、手元に資金が残りやすい。
新築工事から15年未満の間のことを指します。クリーニングや壁紙を一部張り替えるなどと言った原状回復で物件の集客力をキープできる時期です。そのためリフォームなどの節税対策をする必要がなく、さらに減価償却もありますので資金が貯まりやすい時期であると言えます。
そのため利益を生み出しやすい良い時期と考えてしまいますが、ここで得た利益は今後10数年後以降に行う大規模修繕や外壁の修理に使う費用として確保しておく必要があります。確保しておかないと最終的には資金が枯渇してしまいかねないので、注意が必要です。
STEP2 「耐える時期」
- 物件の集客力が落ちつつあり、原状回復に加え設備の更新が必要になってくる。
- 設備の減価償却終了に伴い節税効果が下がり、納税額が上がる。
築15年以上から借入金返済期間内のことを指します。この時期になると集客力は落ちてきます。周辺物件の方が設備が新しかったり、新築であったりするとどうしても見劣りする点が出てきてしまいます。
また、設備に関しては15年で減価償却期間が終わる場合がほとんどです。そのため一旦減価償却費がぐっと下がり、確定申告を行う際に「今までと同じことをしているはずなのに税金が高い」と感じる時期になってきます。
集客力を回復するため、壁紙の張替えやクリーニングといった今まで通りの原状回復だけではなくトイレにウォシュレットを付けたり、エアコンを新しい機種に交換したりするなど設備を更新する必要が出てきます。
STEP3 「保たせる時期」
- 老朽化に伴い物件の集客力が大きく落ち、大規模リノベーション・設備の総入替えが必要になる。
- 物件の減価償却・借入金の返済が終了しているため、なかなか節税効果が発揮されない。
減価償却および借入金返済が完全に終了している時期を指します。この時期には築年数が古い物件になるので、どうしても集客力が大きく落ち始める状態になってきます。加えて減価償却もなくなるため節税効果が中々発揮されない状況になります。
この時期に今まで通り現状維持でいこうと何もしないでいると収入分が税負担に消えてしまい、物件のメンテナンスが必要になったときに費用が捻出できず、その結果さらに集客力が落ちるといった負のサイクルに陥ってしまいます。
そのため契約条件の変更や家賃の値下げといった単純な対策だけではなく、リノベーションや間取りの変更を行うことで家賃をアップしたり、設備を総入替えしたりと積極的に投資を行い、家賃・稼働率の向上を図る必要があります。